簡素な仕組みのドラムブレーキの手入れは容易
現在、主流のスポーツバイクでは、フロント・リヤ両輪とも油圧式ディスクブレーキが取り入れられます。
今に至るまでドラムブレーキを使うタイプは、軽量級バイクかイメージ重視のノスタルジックモデル程度です。
簡単なメカニカルなドラムブレーキは、シューがすり減っているということはブレーキペダルの遊びが大きくなることに直結しており、アジャスターで調整することが可能です。
さらに摩耗が進めばアジャスターでは対応不能となり、いよいよシューの交換が必要となるのです。
ブレーキシューを新品に交換するには、車輪をバイク本体から外す必要がありますので、単にシューの交換のみならず、周りのパーツもメンテナンスするようにしたいものです。
ドラムブレーキの点検修理のために準備する特殊工具はありませんので、車輪を外すための十分なサイズのレンチがあれば十分でしょう。
ドラムの分解
ホイールを外してブレーキロッドを外し分解すると、シューの交換時期の近いドラムやパネルはどちらも汚れが大量に付着しています。
シューの削りカスを吸い込まないようにマスクをかけてエアでダストを飛ばすと、びっくりするほどの汚れ具合です。
ドラムはブレーキクリーナーで軽く清掃した後、ウェスやサンドペーパーで丁寧に磨き、最後にもう一度エアで汚れを飛ばします。
ドラムのシューの当たる面と当たらない面の間に段差がある場合は、400番前後のサンドペーパーで磨き均一にしておきましょう。
続いてパネルの掃除で摩耗した古いブレーキシューを取り外した後、キレイにクリーニングします。
パネルから古いシューを外す際、2つのパートに分かれたシューは相互に強力なバネで引っ張られており、両サイドをきっちり持って、力を入れてゆっくりと起こします。
ブレーキパネルもマスクをしてダストをエアで飛ばしたのち、クリーナーをスプレーしてウェスで拭きあげます。
アンカピンとカムも丁寧に拭いてグリスアップしておきましょう。
ブレーキパネルをガッツリ洗浄するにはバケツなどに中性洗剤と水を入れてブラシでゴシゴシこすると手っ取り早くきれいになります。
古いグリスが固着して頑固で落ちない場合はクリーナーを使ってこすりましょう。
取付けと周辺のメンテナンス
新しいシューはヤスリを使って、軽めに面取りします
できればシュースプリングも併せて交換し、その両端にはグリスを塗布した後、ドラムを組上げます。
新しいシューを組み込んだパネルをドラムへ取り付ける際、円周方向に回転させシューとドラムが円滑に動くことを確かめます。
また、ついでにメンテナンスしておきたいのがホイールベアリングの回転で、グリスが切れている場合は追加しますが、錆びたり、古いグリスの固着で円滑な回転ができなかったりする状態であれば、交換しましょう。