劣化したグリスを完全に除去してグリスアップ
後部シートから縦方向にサスペンションが出るタイプではなく、リアサスリンクユニット一本で支える「モノサス」が主流となったのは1980年代です。
しかし、リンクの定期的なメンテナンスが必要なことは当時も今も変わりません。
最近走行中の乗り心地など安定性が良くないと感じるケースではリアサスペンションの不調が第一に考えられます。
ベストな状態にしておくためには、リアサスリンクの定期的なメンテナンスが必須です。
サスペンションの不調の主因はリアサスリンクのグリス切れや劣化で、想像以上にグリスの劣化などはサスペンションの動きに大きく影響しているのです。
メンテナンスをしてネバネバに劣化したり、乾いてしまったりした状態のグリスはキレイに除去して、新たにグリスアップすれば驚くように本来のしなやかさを取り戻してくれます。
リアサスリンクの取り外しと分解
最初にリアサスリンクの周囲に付着したドロやほこりなどの汚れやサビをブラシでこすってキレイに除去します。
次にリンク周囲のボルトやナットに潤滑剤を吹き付けてスムーズに回るようにします。
各種レンチを使ってボルトを確実にホールドして丁寧にゆるめます。
バイク本体からリンク部分を取り外し、片方の手でリンクを動かしてみるとコンディションの悪さがよくわかります。
仮に円滑に動く場合は特に対応はいりませんので簡易な清掃だけでよいでしょう。
リンクの片方を抑えて持ったとき反対側が下がってしまうような位に動きが悪くなっているケースはかなりのグリス切れや劣化が考えられます。
このような場合は分解してしっかりとクリーニング・グリスアップする必要がありますので、組み立てられていたパーツの向きや外した順番に沿って並べていきましょう。
バラバラに分解すると組み立てをする段階で混乱してしまいますので、そうならないように丁寧に並べて分解します。
リンクの洗浄・組み立て・取付け
いよいよクリーニングで、各パーツを一つずつキレイにクリーナーで丁寧に洗浄します。
このときも組み立てる際に困らないように順番には注意が必要です。
それぞれのパーツの洗浄が終了すれば、新たにグリスアップをしますが、滅多にこのパーツをメンテナンスしない方は特にグリスタイプの選び方にも注意します。
雨天にも走行することから耐水性を有し、車体重量だけでなく乗員の体重も支えることから荷重耐性にも優れたグリスが最適です。
全体にまんべんなくグリスを付けたのち仮に組みたてて動作を確認し、円滑に作動するようであればキッチリと締めてリンクを組み立て、バイク本体に確実に取り付けます。
なお、グリス切れの状態で長期間走行し無理なストロークが積み重なっている場合、リンクロッド表面が傷ついているケースが多いのでこの時は純正部品との交換が望まれます。