セルモーターはメンテナンスフリーではない
セルスイッチを押した時「回転力が弱い、エンジンがかかりにくい」などの不具合を経験した方も多いでしょう。
バッテリー充電・交換でも改善しない場合や走行距離が多いバイクの場合など、セルモーターのカーボンブラシが摩耗しているケースが多いので、メンテナンスをしてセルモーターの寿命を延ばすようにしましょう。
セルモーターはメンテナンスフリーだと勘違いしている人も多いのですが、必要に応じてメンテナンスが必要なパーツなのです。
メンテナンスを怠れば、突然トルクが低下したり、スタートボタンを押してもモーターが作動しなくなってしまったりする事もあるのです。
エンジンがかかりにくい時の原因の特定
ボタンを押してもモーターの回転力が弱かったり、クランキング出来なかったりという不具合の原因は複数考えられますので、まず原因を特定することが重要です。
1.バッテリーの容量不足
長期間の使用により、バッテリーが弱っていたり、上がっていたりする可能性が考えられます。
この場合、バッテリーの充電あるいは新しいものに交換すれば不具合は解消します。
2.バッテリーターミナルケーブルまたはセルスイッチの接触不良
バッテリー本体やセルモーター自体の不具合ではなく、配線の接触不良が原因の場合も考えられます。
バッテリー等のパーツを交換する前にテスターを用いて導通の確認を行ってみましょう。
3.セルモーターの不良
バッテリーや導電に問題がなく、セルモーターの回転が弱かったり、回らなかったりする場合はブラシの摩耗あるいは損傷の要因が挙げられ、ブラシを交換すればOKです。
4.クラッチの滑り
上記の何れの対策でも解決しない場合、クラッチの滑りが原因であることが多く、その場合、スタータークラッチをチェンジします。
セルモーターの分解・清掃・取付け
セルモーターのメンテナンスはスラッジを清掃することが基本で、手順はセルモーターを外してボルトを緩め、ハンマーなどで軽くたたいてスッポリ開くことから始めます。
ブラシと反対側は強い磁石でくっついたパーツがありますが、力を入れて引っ張り出すとはずれます。
これらのパーツの内側にはブラシの粉々が付着してこれが不調の原因である場合が多いので、クリーナーでよく清掃します。
清掃といってもこの程度のことですが、意外に手間がかかるのが組み立てです。
ブラシは4方向からバネで内側に押さえる構造となっており、このバネを開いて組み立てる必要があるのですが、おとなしく収まってくれないのです。
そんな時は余ったボルトをブラシのケーブルの隙間に仮固定して、ブラシを外側に開いて組みたてると苦労せずに組み立てられます。
なお、モーターの型式によってはカバー部分とボディー部分に合わせる印がつけられていることがありますので注意しましょう。